第8章 扉の変奏曲
転入生とは檻の中にいる動物とつくづく思う。
ジロジロ見られて、あれはこれはと質問攻めにあって本当に面倒だと学んだ。
クラスはC。幸村君と同じクラスらしい。席は廊下側の1番後ろ。
「ええ席に座っちょるのぉ。通りがけにイタズラ仕掛けやすいきに」
『やめてもらえます?ってゆーかクラス違うでしょ。何でいるの』
「俺と仁王は隣のBクラスなんだよぃ」
だから何ですか。視線が集中し過ぎて落ち着かないんですけど。ココも向こうと同じ様にテニス部は人気があるのか。面倒臭い。
「桜音ー!ちょっといいかー?」
居た堪れない空気をどうしようかと思ったら先生に呼ばれる。うん、助かった。
「ふむ」
「何だよぃ」
「俺等への視線が4割、姫さんへの視線が6割ってとこかの」
「あー、可愛いもんな姫」
「しかし柳の調べによると前の学校では女子モテが凄かったらしいぞ」
「…えっ!?」
※※※
『これは…』
ずっしりと重たい紙袋を担任から手渡される。中身は教科書とか資料集とか。
「ウチのクラスに入院中の生徒が居てな」
あー、幸村君の事か。
「桜音の家、入院してる生徒の病院から一番近いんだよ。届けるの頼まれてくれるか?なーに、タダとは言わんぞ!ジュース代をやろう!」
ジュース代って安いなオイ。
「生徒の名は幸村精市。任せたぞ」
知ってますけど。いやでも女の子にこんな重たい物届けるの頼むとかどうゆう神経してるの。仕事に対しての報酬がジュース代って安すぎですよ、先生。
※※※
『よっこらせ』
と言う掛け声と共に重たそうな紙袋を棚に置く。
『今年度使う教科書とかだって。先生から頼まれたので届けに参上した』
まぁ彼女に頼む様にしたのは俺なんだけど。でもこんな重たい物を持たせるなんて、どうゆう神経してるんだろうね?先生は。分けて持たせればいいのに。
『病院に一番近い生徒らしく今後もお届け物係はアタシなんだって』
それを踏まえた上での智桜姫なんだけどね。
「有難う。助かるよ」
『ううん、通り道だし』