第6章 引力の行進曲
あ、そっか。跡部とか忍足君とか他の人には何も言ってなかったんだった。
「編入試験って事は転校だろ?何も聞いてねぇぞ!?」
『言ってないもん』
「水臭いやっちゃなぁ…神奈川から通うのやっぱ大変なん?」
『アタシ的にはそうでもないんだけどね。保護者が煩くて』
『何処の学校に行くか決まったの?』
『……………立海、が自宅から1番近いんだって』
(((猛烈に嫌な予感しかしない)))
※※※
日曜日。今日は彼女は来てくれるのだろうか。先週の日曜日はカップケーキを作って持って来てくれた。その前の日曜日は入院したての時で確かフィナンシェを持って来てくれたっけ。お菓子作りはあまり自信が無いって言ってたけど普通に販売出来るくらい美味しかった。
-バタバタ-
「?」
-バンッ-
「ぶちょー!大変っす!!」
「たわけっ!病院では静かにせんかっ!」
「うん、真田もね」
「む…すまん」
「で、どうしたんだい?」
血相を変えて飛び込んできた部員達を不思議に思いながら聞く。赤也の事だからテストの成績が悪くて追試合格するまで部活禁止令でも出たのか。他の事だとすると………うん、成績以外に思い当たらない。
「いっ…居たんすよ!!」
「居た?」
確かオバケとか苦手だったからその類の話かな。
「ウチに!!立海に!!」
学校に心霊話なんて無かったと思うんだけどなぁ。
「ですよね!?仁王先輩!」
「そう…じゃな」
今日は日曜日だしコートの都合もあって練習は午前中だけのハズなんだけど…朝から?昼間から?オバケでも見たって言うんだろうか。
「説明になってないぞ赤也」
「そうだね。ちょっと理解出来ないかな」
「俺達は直接見た訳では無いのだが…仁王と赤也が正門付近で立海に足を踏み入れる桜音さんを見掛けたらしい」
え?桜音さん?いや、でも彼女は氷帝だし。
「自販機の所からだったんで遠かったんですけど、あれは間違いなく桜音さんだったっす!」
だから彼女は氷帝だってば。立海なんかに居るハズが………
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