第21章 隔靴搔痒の練習曲
だから敢えて母さんの居るリビングで話してるんだけど。
-チラッ-
-じーっ-
-チラッ-
さっきから母さんの視線が刺さる。何モタモタしてんだとか思われてるんだろうなぁ。
『初戦は京都か愛知のどっちかになるんだね』
「うん。そして初戦は必ずS1S2S3、D1D2、全試合するんだ」
『そうなの?三タテして勝敗明らかでも?』
「うん」
勝敗明らかでも試合する意味、とか五タテされたら精神的に来るよなーえぐいなーと呟く智桜姫は百面相をする。面白い、って言うよりクールだと言われてる彼女がこんなにも表情豊かなの本当に可愛い。
-ガチャ-
「ただいまー」
「あらあなた!お帰りなさい」
「お帰り、父さん」
『こんばんわ、お邪魔してます』
「いらっしゃい」
今日は父さんの帰宅が早いなぁと思って時計を見ると18時前。あ、本当に帰宅が早い。
※※※
「あの二人は…」
「まだよ」
「そうなのか!?」
「精市ったら何してるのかしら」
「まぁまぁ…ここは親として見守ってあげよう」
※※※
聞こえてるってば二人共。俺だってなるべく早く告(い)いたいのは山々だけど、告白なんてものはタイミングと雰囲気が大事だと思うんだよね。
『どうかした?』
「ううん何でも?」
真剣にトーナメント表を見る彼女には両親の会話がどうやら聞こえてなかったらしい。いや、聞こえてたら困るけど。
→To Be Continued.