第20章 青春の八重奏
「えっへん!」
と大袈裟に胸を張る。先程から桜音の傍をキープしていると言うか。
「焼くの変わりますよ。桜音さんも召し上がって下さい」
『有難う柳生君』
「あー!俺がやるっす!」
『「切原君!?」』
「姫先輩の分は俺が焼きます!」
-わちゃわちゃ-
「………自覚しちゃったかなー赤也も」
「自覚?知っていたのか?」
「うん、何となくね」
そんな会話をする幸村と柳の話の内容が良く分からない。一体赤也は何の自覚をしたと言うのだ。
※※※
あれだけあった食材はあっという間に無くなった。皆の食欲、本当に凄い。食後は川で冷やしてた西瓜を皆で食べて。中には川で遊ぶ人も居る。そんな様子を片付けながら見てた。ふと空を見上げると橙と紫のグラデーション。と言っても橙はほんの少しで殆ど紫から黒なんだけども。
『よし』
「お疲れ様」
『有難う』
「赤也、随分と智桜姫に懐いてるよね」
『…だとしたら有難いけど…可愛い弟って感じだし』
「………そっか」
と安心したように微笑する。何か不安な事でもあったのだろうか…と話題に出た本人を探そうと視線を川に向ければ切原君どころか皆が見当たらない。
『あれ?皆何処行っちゃったんだろう?』
「こっちこっち」
『「?」』
後ろから聞こえてくる声に振り向けば、ずいっと目の前に差し出されたケーキと花火。
「幸村君の祝賀会第二弾と」
「遅くなったが姫のマネージャー就任祝い」
「ケーキは俺お手製なっ!」
「成程…」
だからアタシと幸村君を買い出しに行かせて玄関より先に行かせなかった訳だ。
『言ってくれれば手伝ったのに』
「駄目だって。姫のマネージャー就任祝いも兼ねてるんだから」
「言ったらサプライズの意味が無くなるきに」
「智桜姫」
『!』
一同「いつも有難う」
『………、こちらこそ…いつも有難う』
アタシ、マネージャーやって良かった。
皆に会えて良かった。
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