第1章 恋の始まり
バレー部の子達は、週一位のペースでやって来る。
毎回誰かに肉まんをおごってもらうわけにはいかないので、何人かがおやつを買ったり、ジュースを買うだけの日もある。
それに毎回必ずしも全員が来るとも限らなかった。
でもなぜだろう。毎日彼が来ないかそわそわしてしまう。
そして明らかに部活をしているであろう時間帯でも、烏野の男子生徒が「ちわーっす」と入ってくると背筋を伸ばして身構えてしまう。
なぜ、数回店員と客としてのやり取りをしただけなのにこんなにも彼を好きになってしまったのか。今まで生きてきて25年、こんな恋はしたことがない。
「ありがとうございましたー。」
先ほど入ってきた烏野の男子生徒が店を出たあと、彼じゃなかったと少し落胆している私を、ちゃんと仕事に集中しろ!と責めていると、
「なー、お前、誰か好きな奴ができたのか」
と繋心に声をかけられてギクリとした
「な、ななな何でそう思うかなぁ!」
思わず噛んでしまう。こんなのyesと言っているようなものだ。
これ以上墓穴は掘るまいと私は黙ることにする。
繋心は少し笑って、
「お前の反応って小さい頃から何一つ変わってねぇからだよ。高校の時に先輩に惚れていたのも丸わかりだったぞ」
私は過去を掘り返されて真っ赤になった。
「で、でも別に私が誰を好きになったって関係無いでしょ?だからお願いだからそれ以上は聞かないで!」
私は何か言われる前に予防線を張ることにした。まさか7つ下の子に恋してるなんて言えやしない。
私は3月生まれなので、3月になれば25になる。だから今のところは7つ下と言えるが、もう2ヶ月もすれば8つ下である。
考えれば考えるほどその年の差に泣きたくなった。