第13章 墓前の誓い
「う、そのフレーズ、めっちゃ死亡フラグっぽい」
「何ー?折角素直に言ったのに、もうっ」
及川の背中に、蹴りを食らわせるように足を振るリオ。
触れられはしないが、その顔は晴れやかだった。
「応援、してあげなくちゃね・・・ミオのこと」
自分の分まで、精一杯頑張ってる彼女を・・・
リオは及川の顔を覗き込む。
「徹くん?ミオのこと、よろしくね?」
「へ?なに、いきなり・・・」
姉の顔を見せるリオに、墓石の周りに咲いた雑草を取り除きながら言う及川。
「ミオは不器用でコミュニケーションとるのヘタッピででもハマると一直線な可愛い妹だから・・・大切にしてあげてね」
気づいてた・・・
きっと・・・
きっと徹くんは、ミオの事が好きだ。
それでいい。
生きているうちに、大切な人を、大切にしてほしい・・・
リオの瞳の奥の感情を読み取ったように、及川は笑った。
「うん・・・でも、俺は死んでしまうから・・・見守ることにするよ。ミオが頑張ってる姿を、応援する」
ミオのためにも、やっぱり彼女の気持ちには応えられない・・・
好きだから、大切だからこそ・・・
この選択をする。
及川は、リオに手を伸ばす。
まるで美しい黒髪に触れるように、優しく伸ばす。
「前に言ったよね?俺が俺の人生を全うするのを見ててほしいって。だからリオは、俺がミオを見守りきる姿を・・・見ててほしい」
俺が死ぬ、その時まで・・・
ミオを守るから・・・
それを見ていてほしい・・・
「それに俺・・・お前のことも、ひとりにしたくないんだ・・・」
及川の指先は、頬の位置へと動く。
とくん、とあるはずの無い心臓がはねる気がした。
「俺にとってはリオも・・・大切なんだよ」
真っ直ぐに嘘もなく告げられた言葉。
リオは頬を赤らめて言った。
「馬鹿・・・・・・」
彼の優しさに、心が震えた・・・