第12章 夜に咲く真実
「もしも、どこかでリオが私を見ていてくれるなら、私は言いたいです。ごめんね・・・本当にごめんね、大好きだってっ・・・」
嗚咽が漏れる。
どうか、誰か、届けて・・・ーーー
「ミオ・・・」
リオは、愛しい妹へ手を伸ばす。
溢れ出る涙を拭うように・・・
そして、正面から抱きしめる、けれど・・・
「リオ・・・ごめんなさい、逢いたい・・・逢いたいよ・・・リオ・・・っ」
「私はここだよ、・・・ミオ・・・ちゃんと・・・っ、ちゃんと聞こえてるよ・・・っ」
いくらリオが触れようと、抱き締めようとしても、手は、体はすり抜けていく。
自分は死んでしまっているから・・・ーーー
叫んだ想いも、全て風にさらわれて・・・
ミオには決して届いてくれない・・・
「・・・・っ」
及川は、ふわりと優しく、泣きじゃくるミオの体を抱きしめた。
リオと、ミオ・・・
悲しくすれ違ってしまった双子を包むように、優しく・・・
それでいて強く・・・ーーー
「ちゃんと、届いてるよ・・・ミオの言葉」
温かいミオの体・・・及川は、頭をぽんぽんと撫でながら言った。
「大丈夫だから・・・」
コツンと、額を合わせる。
目を合わせ、そして微笑む。
「俺が、いる・・・
リオができなかった分まで・・・
俺がミオのそばにいるよ・・・」
たとえ死が2人を引き裂く日が来ても・・・
その日まで、この子を守ってあげたい・・・
リオの分まで・・・・・・ーーー
「徹くん・・・っ」
すぐ側でリオが、
「徹くん・・・っ」
目の前で、ミオが・・・
同じ瞳で、同じ想いで言った・・・
「ありがとう・・・っ」
花火が終わるまで・・・2人は泣き続けた。
腕でミオを抱きしめながら、右手でリオと手を繋ぐようにしながら・・・
自分がリオの姿が見える理由・・・
それは、決して交わることのない2人を、
繋ぐためなのかもしれない・・・・・・
花火を見上げてそんなことを考えた・・・ーーー