第12章 夜に咲く真実
大学1年の夏、その時、正セッターの先輩が怪我をして控えの私がレギュラーのみんなにトスを上げた。
正セッターの人は、私よりも断然上手く、他のレギュラーからの信頼も厚くいい人だった。
けれど、いきなり入れられた私は何をすることもできず、コンビも合わない、緊張で足はすくみ、話す余裕も無くて・・・みんなのフラストレーションを溜めてしまうばかりだった。
思うようなプレーもできないで、どうすればいいの、一人悩んでいた・・・
丁度その時、大学に行かず路上ライブの場数を踏んでいたリオは、ある日に開催した路上ライブでスカウトマンに声をかけられ、受けたオーディションの合格通知を受け取っていた。
大学まで迎えに来てくれたリオの手には、その合格通知が握りしめられていて、目には涙がポロポロと零れていた。
私に抱きつくリオは、頑張ってきて良かった、と泣きじゃくっていた。
その姿を見て、リオの社交性のお陰で友達になった私の同期や先輩までもが彼女の元へ集まり、合格したことを祝福し始めた。
嬉しそうに笑うリオ。
それを取り巻く周りの人たち・・・
私のチームメイトなのに・・・
みんな、私よりもリオの元へ行く・・・
私だって、頑張ってるのにな・・・ーーー
唯一熱中したバレーボールで悩んでいた私は、そんな黒い感情を生み出していた・・・
そして、
悲劇が起こってしまった・・・ーーー