第12章 夜に咲く真実
雨が降っていた。
リオの合格通知を読みながら、2人で傘をさして家に帰る時だった。
「ふうん、ミオ、今、レギュラーなんだ、すごいじゃん」
「正セッターの人が怪我したから、代わりに入ってるだけだよ。それに、全っ然上手くいかないし、もうやだ・・・」
オーディションに受かったリオと、バレーのスランプ中のミオ。二人の気分は天と地の差。
ミオの話を聞きつつも、リオはやはり、少し浮ついた表情をしていた。
「元気だして!ミオなら大丈夫だよ!」
にっとリオは微笑む。
「だってミオはチームスポーツでしょ?皆がいるじゃん、自分ひとりがダメでも、周りの人が助けてくれるよ!」
だから大丈夫!
「ミオには、私もいるから!」
その笑顔が、その時の私には・・・
凄く、嫌だった・・・ーーー
「簡単に言わないでよ」
そんな言葉が自分の口から知らずに出ていた。
「え・・・?」
「リオはいいよね、昔から、みんなに愛されてて。みんなの輪の中心にいて・・・」
いつも、いつもそうだった。
その人間性で、歌声で、笑顔でパパもママも、私の友達も好きな人も、チームメイトも、みんな魅了してきた。
そんなリオに・・・
憧れる分、嫉妬していたーーー・・・
「ミオ・・・?」
「私はリオみたいにすぐにみんなと打ち解けられないし不器用なの!」
いつも、影で言われていた・・・
"リオちゃんは元気に挨拶してくれるのにミオちゃんは声が小さい"
"姉は愛想いいけど妹は仏頂面"
"姉は友達多いけど、妹は少ない・・・"
みんなみんな、リオばかり良いように見て・・・私を見てくれない・・・!
リオは確かにいい子だけれど、
そのせいで私がどうしても悪く見られる。
「ごめん・・・軽率だったよね・・・」
バツが悪そうに頭をかく、リオ。
そんな素直に謝る態度にも腹が立つ。
大学にも通っていない。勉強もレポートもなく、ただ歌うことだけをしているリオ・・・
「謝るくらいなら、言わないでよ」