第11章 秘めた想い
(それに俺は・・・・・・)
ふと思い出すのは、リオの顔。
先に会ったのは、ミオよりも彼女の方で、
今でも及川は、リオに惹かれている・・・。
彼女の放つ、陽気で、掴みどころのない性格が好きだ。
彼女の歌が好きだ・・・
ただ、彼女は、生きた人間ではないだけ・・・
触れることができないだけ・・・・・・
・・・となると、自分はミオを、リオの代わりとして見ているのか?
そう言うわけではない。
ミオの事は人として好きだし、
関わっているのが、楽しいのだーーー・・・
「じゃ、及川は恋愛感情は無いって事?」
一緒に昼ごはんを食べていた女バレの主将の女の子が、尋ねる。
こくんと頷く及川。
「でもね、ミオは、そうじゃないっぽいよ・・・」
ーーー・・・
"及川の話をするとね、すっごく顔を真っ赤にするの。もう、誰が見てもわかっちゃうくらい"
(参ったなぁ・・・・・・)
女バレの主将から言われた言葉で確信してしまった・・・
ミオは、自分に好意を寄せていること・・・。
(あれだけ一緒にいたら、そうなってもおかしくない、よね・・・)
ここ最近、ミオの様子が変わってきた。
女の子らしい小物を持ってきたり、
優しい匂いの香水をつけてきたり、
休日、買い物に出かける時は大胆にワンピースを着てきてくれたり、化粧してきたり・・・
そして何より、
自分を見つめる熱い視線・・・
毎日一緒にいるから、その変化は手に取るようにわかる。
控えめな彼女だから、
自分の気持ちを言えずにいるのも、わかっている・・・・・・
(・・・・・・どうしようかな・・・)
電車に揺られ、及川は自分の手を見つめながら考える。