第8章 少女の純情禄
リオが歌を歌い終わる頃には、及川は完全に夢の中におちていて、あどけない寝顔が見られた。
彼の寝顔を見るのは初めてだった。
音もなくリオは及川の顔を覗き込む。
そして息を潜めて、その頬に指を這わせた。
触れられないけれど、
この、秘めた想いが少しでも伝わりはしないだろうか・・・
そんな事を考えている自分に苦笑した。
「だめ、だね・・・」
自分を押し込めて、苦く微笑む。
そんなこと、一切知らないかのように眠る及川。
彼が、最期を迎える日・・・
この穏やかな寝顔が、永遠にあり続ければいいなと思いながら・・・
リオは夜が明けるまで、彼の側にい続けた・・・