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Dearest〜最愛の君へ〜

第8章 少女の純情禄





「さ、もう寝んべ。もう2時じゃん、はや!」

ふぁぁぁと大きく欠伸をする及川。
パチン、と電気を消して布団に入る。

「リオも一緒に、寝る?」

いたずらっぽく、掛け布団を持ち上げて招待する及川。

「冗談は顔だけにしてください」

「ひっどいな!」

ぴしゃりと切り捨てられ、傷心する及川。
それにくすりと吹き出す、リオ。



あぁ、

彼女がいて、彼がいて、

この時間が、幸せだと感じているのは・・・・・・



(俺だけかなぁ・・・)


(私だけかなぁ・・・)



同じことを考えていても、
きっとそれを伝え合うことはできない。

わかっている・・・

「ね、リオ・・・?」

真っ直ぐにリオを見上げる、及川。

「一緒に寝なくてもいいから、さ・・・」

そう言って布団から左腕を伸ばす。

彼女に、差し伸べるように・・・



「歌を、うたってくれないかな・・・リオの声、落ち着くから・・・」

ドライブした時に、初めて君の歌声を聴いた・・・
想いをひたむきに音に乗せて伝わるような、透明な声だった。

あれから、君の歌が頭を離れないんだ・・・・・・




すると少し考えて、リオは・・・

「いいよ・・・」

差し伸べられた及川の手に、自分の手を伸ばす。

触れられないとわかっているけれど、彼の手に重ねる。


包み込むように、少しでも、

秘めた熱が伝わるようにーーー・・・


それからリオから紡がれるあの歌・・・

ドライブでリオが歌った歌を、もう一度彼女は歌ってくれた。

優しくて、切なくて・・・愛が溢れるその歌を。



(ありがとう・・・)


及川はそう思いながら、緩やかに眠りにおちていったーーー・・・




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