第8章 少女の純情禄
そして、リオはちらりと隣のコートを見る。
仕切りの緑のネットを挟んだ隣のコートでは、
リオの片割れ・・・ミオの姿があった・・・・・・
「ミオ、今のトスナイス!もう一本」
「はい!お願いします!!」
(三年生になったんだ・・・)
汗を拭いつつ、先輩へトスを運ぶミオ。
彼女も、ひたむきに頑張っている。
「ミオ・・・」
届きもしないその名を、リオは呟くように呼んだ。
勿論、彼女が振り返ることは無い。
彼女はリオの話をしない。
自分の事なんて・・・初めから無かったように。
しかし、そのことを咎めるつもりもなかった。
ただ、胸中に潜めるのは、
ごめんね・・・
この言葉だったーーー・・・