第8章 少女の純情禄
それが、確信に変わったのは、
あのドライブした日・・・
あの時、咄嗟に、彼の言葉を遮ったけれど・・・
彼はきっと私に告白した。
でもそれはダメだと本能が察した。
私を好きになっちゃだめだと・・・
彼は、まだ生きている。
偶然、私を見つけることは出来たけれど、
それ以上、踏み込んではいけない。
私は・・・彼を幸せにすることはできないから。
彼には、生きているうちに・・・
幸せを見つけてほしいと思ったから、
自分の気持ちを押し殺して、彼を拒んだ・・・ーーー
拒んだはずだけれど、それから、彼に自分が死んでいることを知られ、彼の運命についても話してしまってから、
私は彼を見守る約束をした・・・
彼が生きた事を、見続けることに・・・
ーーー・・・
死神の公務が早く終われば、リオは及川の部活をしている姿も見学した。
誰も、自分の姿を見る人も、ましてや触れる人もいないため、体育館にいてもいいけれど、唯一見える及川の気が逸れてしまうと思い、見るのはいつも、上のギャラリーからだった。
素人からでもわかる
彼のうまさ。
人を惹きつけるカリスマ性・・・
彼がキャプテンをしている理由が、すぐに分かった・・・
聞けば、大学選抜にも選出されるくらいの実力であり、
そんな彼はチームの顔なのだろうと思った。
その肩書きを持つ、及川という人は、
本当にバレーを楽しんでいる風に見えた。
ボールに触れている時間が嬉しくて、たまらない。
ボールを追いかけている時も、サーブを打っている時も、
何をしている時も・・・彼は、幸せそうだった。
そんな彼が、もうすぐ死んでしまうという事実は、
酷くリオを悲しませた。