第7章 二人の事情
「徹くんでおしまいなんだよね、実は♡」
ブイサインを見せるリオ。
「嘘!」
つまり、自分の魂を迎えに行けば、彼女は転生して新しくこの世に舞い戻れるらしい。
「凄いじゃん、めっちゃ頑張ったんじゃん!てか、めっちゃ運命的じゃん、俺で最後とか、とっといたの!?」
素直に感心して拍手を送る及川。
「そんな訳ないじゃん、どんなドラマよ」
「え、でも待って、そしたら俺、死神になってもリオと仕事できないの!?」
はっとして理解する。
自分が死んで死神になっても、リオとは入れ違いになる。
まるで、三つ上の兄がいる気分だ。
自分が高校入学すれば、三つ上の兄は大学生になる。正に入れ違い・・・
「えーー!俺リオと仕事したかったし!」
しゅん、と肩を落とす及川。
え、とリオは口を開く。
「徹くんは、死んでも死神になんないと思うよ?」
「え、なんで?」
きょとんと首を傾げる及川に、んー、とリオは額に手を当てて言葉を選んだ。
「徹くん、自殺とかする気ないでしょ?」
「え、うん。そんな病んでないし」
だよね、と、じゃあ大丈夫、と言いながら、リオはキッチンへ食べた二人分の器を持っていく。
「死神は、自殺した人間しかならないからね」
声が低い。
「じゃあ・・・リオは・・・」
自分で、その人生を終わらせたのか・・・・・・
しかし、
リオは首を振った。
「私はちょっと違うの」
キッチンへと姿を消す彼女が残した言葉。
含みのあるそれについて、これ以上追求するのは、
いけない気がした・・・・・・・・・ーーー