第7章 二人の事情
「俺、思ったけど結構短命だよね?」
「うーん、それより早く亡くなった私は何とも言えないけど、寿命で亡くなるって事ではないみたいだね」
暖かいうどんを啜りながら、ヘビーな会話をする2人。
時計の針の進行具合は予測不能。
1日に二回、0へ進むこともあれば5日そのまま進まないこともある。
「事故かな、病気とかで苦しくて死ぬのやだな。リオ、何か知らないの?」
「死因とかは私は全然聞かされてない。そういうのは全部上の人が把握してるから」
死神にも、上下関係というものがあるらしい。
通常の人の魂を迎えにいくのは大体平社員で、魂を迎えにいく際に暴れ出したりするとそれを鎮めに来るのが部長や係長的な死神らしい。ということは、リオは平社員となる。
「死神界では昇格とかあんの?」
うどんの汁を最後まで啜り、ティッシュで口元を拭うと及川は尋ねた。
「あるよ、結構簡単に昇格できる。私もとっくに昇格出来るんだけどねー」
「ふうん、何で昇格しないの?仕事楽になるんじゃない?」
うん、そうだけど、とリオも最後の1滴まで汁をすすった。
「私、早く生まれ変わりたいから」
「生まれ変わる?」
「うん、この世に新しい生を受けるの。その為には昇格するより何倍も仕事頑張らなくちゃいけないんだ〜」
なるほど、一生死神としている訳じゃないのか。
仕事を頑張れば、来世での未来が貰えるという事らしい。
「じゃあ、あとどんくらい仕事しなくちゃいけないの?」
そう尋ねると、リオは口端を釣り上げた。