第6章 0の付く時計
「俺、死ぬのか・・・」
「いつ死ぬか、何で死ぬかは、私も知らされていない。私は、あなたの魂を見守り迎えに行く為に、あなたの前に現れたの」
初めてここで会ったのも・・・偶然ではなかったんだと思うと・・・
少し切なかった。
リオは何も言わない及川を見て、申し訳無さそうに目を伏せる。
「ごめんなさい、こんな事言って・・・。でも、私が生きてる人間じゃないって知られてる以上、話さないわけには行かなかった・・・。
でもね、初めは仕事のため、って思ってあなたに近づいたけど、あなたが、私を見つけてくれて、凄く嬉しかったんだよ」
「え・・・?」
顔を上げると、少しだけ、頬を染めたリオ。
「どうして徹くんに、私の姿が見えてるのかはわかんないけど・・・誰かが、私のことを覚えていてくれている事が、凄く嬉しかった」
普通の人には見ることの出来ないリオ。
誰もが、自分の存在なんて知らずに生きている。
その中で自分を見てくれた彼に出会えた時、
居場所を見つけられた気がした・・・・・・
「こんな事言うのも、おかしい気がするけど、ありがとう・・・」
及川は静かに、リオに手を伸ばした。
その頬に、触れようとするが、するりとすり抜けていく・・・・・・
「ね、リオ・・・?」
「ん?」
頬に手を伸ばしたまま、及川は彼女を見つめた。
「俺、死ぬのが怖くないかもしれない」