第4章 雨の日のドライブ
ーーー・・・
「すっごい!綺麗だねーっ」
他愛ない話をしながら車が辿り着いた先は、とある山頂。
そんなに高くは無いが、及川たちの住む街を一望できる俗に言う、デートスポットだ。
今は雨も上がって、キラキラと輝く街の明かりが本当に綺麗だった。
「こんな場所があるんだね」
「昔から、・・・岩ちゃん、覚えてるかな?その岩ちゃんの父ちゃんに連れてきてもらって、ここで花火したりしたんだ」
「へぇ〜、そうなんだ。こんな場所あるなんて、知らなかったよ!」
ほんと綺麗・・・とつぶやくリオを見つめながら、及川は意を決して、胸の内を伝えようとしたが・・・・・・・・・
(あ・・・れ・・・・・・?)
空調・・・ヒーター入れすぎたかな?
急激に眠気がやって来た。
「ん?徹くん、眠そうだね」
「いや、はは・・・なんでだろうね、そんなに遅くないのに」
時計を見れば、まだ9時過ぎ。
リオは自身に与えられていたブランケットを、及川の肩まで掛けてやった。
「今日、練習試合だったから、きっと疲れてるんだよ。ちょっと寝ちゃいなよ」
そう言って優しく微笑む。
彼女を残すのは申し訳ないと、ふるふると首を振るが・・・
「いいのいいのっ!私、こういう景色ずうっと見てられるくらい、ロマンチックだから」
と言われてしまった。
「ん、じゃあ、ごめん・・・少しだけ・・・・・・」
座席を倒し、
とろとろと瞼が降りていくのを感じながら、及川は呟いた。
「おやすみ、徹くん・・・」
いつもの彼女の言葉が、今日はより近くに聞こえるのを感じながら、及川は眠りについた。