第4章 雨の日のドライブ
その柔らかく、綺麗な髪に、触ってみたいと、
思わず手を伸ばしてみたくなったけれど、
彼女に灸を据えられて言われた言葉を思い出し、その感情に蓋をした。
代わりに、今日はいつもよりも近くで、彼女の姿を目に映そうと思った。
「あ!私、この曲大好き!」
流しまーすっと言ってすぐに、車内に流れるBGMが変わる。
美しい、ピアノの旋律から始まるその曲は・・・
「あ、それ俺も好き。懐かしい」
ちょうど、そうだ・・・
リオと初めて終電で話した時に聴いていた曲だった・・・
「・・・ね、ちょっと歌っちゃってもいいっ?歌いたくなっちゃった」
"Dearest"
あの夜、
その歌を歌った君は・・・
どんな気持ちでいたんだろうか・・・