第20章 Dearest
ミオの魂が、体へと重なり吸い込まれるのを見届けたあと・・・
リオはポケットから何かを取り出した。
「これ・・・貰っていくね、ミオ・・・」
それは、キラキラとした、オレンジ色のビーズ。
ミオが及川を庇った時に切れて飛び散ったブレスレットの欠片だった。
たった1粒しか無いそれを、きゅっと握りしめた瞬間・・・ーーー
グラッ・・・
「リオ!!!」
世界が崩れる。
及川は倒れるリオの体を抱きとめる。ずるずると膝をつき、横抱きにしてリオの顔をのぞき込む。
すると、足元から、リオの体が透けていくのがわかった。
禁忌を犯したから・・・
リオが・・・
終電で他愛ない話をして、布団の上で背中合わせで語り合い、歌と共に寄り添ってくれていたリオが・・・
消えてしまう・・・ーーー
「リオっ、・・・リオ・・・っ!!」
「徹くん・・・」
掠れた声で、自分を抱きしめる人の名を呼ぶ。
愛しい人は、唇を噛み締めて、涙が流れるのをぐっと、堪えて震えていた。
「ごめん・・・っ、俺、リオに、何もしてあげられなかったっ!!」
私のために、泣いてくれているの・・・?
そんなこと、ないのに・・・ーーー
リオは小さく首を振った。
「徹くんは、私を見つけてくれた・・・」
あの時、電車の中で孤独だった私を見つけてくれた・・・
そこから全ては始まっていたんだね・・・
「ミオと、仲直りできた・・・」
あの花火大会の日にわかったミオの気持ち・・・
徹くんがいなかったら、私はミオの気持ちを知らずにただ謝り続けていたかもしれない・・・
「それだけで、幸せだったよ・・・っ・・・ありがとう・・・!」