第18章 最期の時間
「徹くん・・・」
「ちゃんと、届けてみせるよ、リオなら・・・」
だって、ミオの姉ちゃんなんだから・・・
「届かない、訳が無い・・・」
こくんとリオが頷く。
そして、マイクスタンドへ口元を寄せる・・・
すぅっと息を吸いこみ、語るように、
「本当に大切なもの以外・・・」
歌い出す・・・ーーー
私という存在が死んだことになってから・・・
死神として、幾度となく亡くなっていく人たちを見てきた。
その中で、あなたと出会えた。
あなたに恋をした・・・
だけど私はあなたには触れられない。
死んでしまったことや、死神という現実が無ければ・・・
私はもっと、ありのままにあなたを愛せていたかもしれない
でもね、あなたの寝顔、悔しそうな顔、眠そうな顔、怒った顔、困った顔、照れた顔、悲しむ顔、そして、笑顔を見て思った。
あぁ、私はこうならなかったら、あなたと出会えてなかったね
きっと、お互いに夢を追い続けて、振り向くことすらしていなかったね・・・
だから今は、この姿であなたと出会えて良かったと、
心から思える。
あなたに出会うために、死神になったんだと・・・
あなたが愛しい・・・
誰よりも、なによりも・・・
あなたが死んだって、私はあなたを想い続けるよ。
あなたの幸せを・・・心から祈ってる・・・
私が最期の眠りにつく、その日まで・・・