第14章 それぞれの想い
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その後、3人ですっかり暗くなった外へと出る。
タクシーで駅まで向かい、国見を反対側の路線まで送る。
「わ〜こんなに遅くなっちゃった、国見ちゃんごめんね」
「いえ、及川さんが何ともなくて良かったです」
「あんな事でどうにかなるような俺じゃないよ。じゃ、国見ちゃん、また明日ね」
「はい、明日もよろしくお願いします」
軽く会釈をして電車に乗る国見を、及川とミオは見送った。
「それじゃ、俺達も帰ろっか」
「・・・・・・・・・」
「ミオ〜?」
どこか抜けた表情をしているミオの頬を指でつつく。
「ひゃあ!」
突然のことに変なリアクションをとったミオ。
「わ、超いいリアクション」
「もうっ、急に脅かさないで下さい!」
「呼んでも聞いてなかったじゃん。何〜久々に国見ちゃんに会えて嬉しかった?」
意地悪く、軽くミオの頬を両手で引っ張る。
「ひょんなことないれす!」
上手く喋れないでいる姿が可愛らしい。
ジタバタと及川の手から逃れると、ミオは引っ張られた頬を撫でる。
「うっそだ〜、国見ちゃんと話してる時、超笑顔だったじゃん」
「英くんは幼なじみだから、会えて嬉しいのは当然ですよっ」
「なんで国見ちゃんは下の名前で呼んでんの?俺だってミオに名前で呼ばれたいっ」
「そ、それは別にいいじゃないですか!今更恥ずかしいです」
ぱっと頬を赤らめるミオ。
うん、すっかりいつものミオだ。
そして、いつもの自分でいられている・・・
「じゃあわかった、これからミオが及川さんって呼ぶ度に、その場でハグするから」
「そ、そんなのダメです!絶対言っちゃいます!」
「じゃあ言わないように頑張んなくちゃね?あ、ちなみにチームメイトの前でも普通に抱きつくから♪」
「そんなむちゃくちゃな!」
完全に及川の手のひらで転がされるミオ。
(良かった・・・さっきの浮かない顔も、もうしてない・・・)
及川は、彼女の彼女らしい表情に、安堵の息を漏らした・・・ーーー