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Dearest〜最愛の君へ〜

第3章 新しい日常






ばっと、及川は顔を上げる。
そして、その視線の先に、待ち望んでいた少女の姿を映す。


「こないだぶりだね、徹くん」

お疲れ様、そう言いながら彼女は・・・

リオはまたもや及川の向かいの席に腰を下ろし、細い脚を組む。

「今日も終電なんだね」

細い手首に付けた腕時計をちらりと見て、リオは言った。

「うん、部室で同期と騒いでたから、たまにこんな時間になっちゃうんだよねー」

会えたことへの喜びを、悟られないようにマフラーで口元を隠す。

(やっばい、テンション上がってる・・・)

心臓が高鳴るのを感じている。

「部室・・・?てことは、徹くん何か部活してるんだ?」

及川の足元に置かれたリュックを見ながら、リオは尋ねる。


「うん、男子バレー部、一応、キャプテンなんだよ俺」

「えっ、バレー部?それにキャプテン?凄いじゃんっ」

リオの顔が明るくなる。


「確かに、身長も高いもんね。わぁ、凄いなぁ」


お世辞だと分かっていてもリオから褒められると、及川は内心嬉しさがこみ上げた。

「そんな事ないよ。俺みたいな身長のやつなんて、ざらだしね」

「いやいやっ、それにキャプテンなんてもっと凄いじゃん。みんながなれるもんじゃないんだしっ」



へぇ〜と、組んだ脚に肘をついて身を乗り出すリオ。
猫のように大きな瞳が、上目遣いで自分を見上げる。


その瞳に、どきりと、胸を鷲掴みされた気分になる。

「うちの妹もね?いるんだけど、バレーやってるの。徹くんみたいな身長無いんだけどね」

「俺みたいな身長の女の子、早々いないよ!そうなんだ、ポジションどこ?」

「セッターかな」

「あ、俺もセッターだよ、妹ちゃんと一緒だ」


そうなんだ!偶然だねーと話がテンポよく、心地よく進んでいく。
それからしばらくバレーを中心とした会話に花が咲いた・・・






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