第3章 新しい日常
彼女に・・・・・・
リオに、会えるかもしれない。
また、終電の、あの席で・・・
何の根拠も無かったが、そんな淡い期待を抱きながら、及川は改札をくぐった・・・ーーー・・・
電車に乗り込み、あの、席に座る。
自分以外の人は、乗っていない。
少しそわそわする気持ちを押し込めるように、スマホにイヤフォンを取り付け、音楽を流す。
お気に入りのイントロを背景に、ドアが閉まる音がしたーーー・・・
タタン・・・タタン・・・
相変わらず電車は、駅に止まっても、誰も乗せず、及川を運んでいく。
もう何曲、曲は変わっただろう。
また、どんな歌を聴いてるの、と声がかかるのを期待していたけれど、誰も、何も聞こえない。
はぁ、とため息を漏らした・・・・・・
「どうしたの?ため息なんて」
隣の車両の連絡通路の扉が開く音と、イヤフォン越しに聞こえる、
聞きたかった声が降ってくる。