第14章 それぞれの想い
「あ、はい」
ミオは及川が差し出した財布を受け取り、その場を去っていった。
国見と2人になった室内で、彼は、口を開く。
「及川さん・・・変なこと言うかもしれないんですけど・・・」
そう前置きして、及川はこくんと頷く。
国見は、真っ直ぐに及川を向いた。
「リオが今何をしているか・・・知っていますか?」
「え・・・?」
それは、及川にしか理解できない質問だった。
リオの死を、勿論知っているだろう国見が、
こんな、傍から見たら意味のわからない質問をする筈がない。
でも、ふざけている訳ではなく、至って真剣に国見は及川を見つめている。
及川は驚いたが、すぐに笑みを浮かべ、
「うん」
そう答えた。
「リオは・・・死神をしてる」
「やっぱり・・・及川さんにも見えてるんですね、リオのこと」
「及川さん、も?」
国見は頭を掻きながら、はい、と言った。
「俺、昔からそういった類のものが、見える人間なんです」
だからあの時・・・
及川が倒れた時に急に現れた少女が見えた・・・・・・
その前にも、何か及川の近くに嫌なことが起きる気配を感じた。
"徹くん!!"
そう言って、チームメイトに紛れて及川のそばにいた彼女・・・
ミオとよく似た容姿の彼女は、
亡くなったリオだった。
「そうなんだ・・・リオ、来てくれてたんだ」
及川は呟く。
国見は黙って、反対側のカーテンを開いた。
そこには・・・
「リオ・・・?」
口元を抑え、必死に涙を堪えているリオが立っていた。
「どうして、ここに・・・?」
「徹くん・・・」
国見は、リオを見て言った。
「ずっと、ここにいました。及川さんが起きるまで、ミオと一緒に。・・・まぁ、ミオには見えてなかったけど」
「徹くん・・・っ」
泣き出すリオ。
呆れたような瞳で、国見はリオを見た。
「ほんと、姉妹揃って泣き虫だよね」
「英うるさいっ、も、ほんと・・・っ徹くんの馬鹿!」
ミオと同じように、目を兎のように真っ赤にして・・・