第14章 それぞれの想い
国見とミオ
2人の醸し出しているただならぬ親しい雰囲気に、及川は何かを直感する。
「うん。え、及川さんと仲良いの?」
「良いっていうか、中学からの先輩」
「え!本当に!?知らなかった!」
「その反応見たら知らないってことくらいわかるよ」
「もう、相変わらず意地悪!」
なるほど、ミオは本当にいじられ役なのだとわかる。
と言うか、あの国見が少し微笑みながら話をしている、冗談を言っていることに驚く及川。
「えーっと?2人は・・・」
「あぁ、及川さん、俺とミオ、小学校一緒なんですよ。ミオが一つ上の学年なんです。こう見えて」
「こう見えてって何よ!」
さらりと話す国見。
なるほど、2人は幼なじみと言う訳か。
「国見ちゃん、お受験の学校行ってたの?」
「まぁ、はい、一応」
昔から国見の内に秘めたハイスペックは分かっていたけれど、お育ちも良かったなんて・・・
及川は地味にたじろぐ。
「ミオ〜?キャプテンが練習前にミーティングやるから集まってって!」
そこへ、ミオのチームメイトがひょっこりと顔を出した。
「あ、は〜い。・・・それじゃあ及川さんも英くんも、午後からまた頑張って下さいね」
そう言い残し、ミオはパタパタと足音を立ててその場を後にした。
後に残された及川と国見。
「国見ちゃん、ミオと幼なじみってやつなんだ」
「はい、まぁ・・・」
「昔付き合ってたってことは無い?」
「まぁ・・・、中学1から高2まででしたけど」
「あるのかよ!そして長!!」
ぎょっとする及川。
「まぁ、向こうが高校卒業する時に、やっぱりお互い幼なじみの方が居やすいって思ってたんで、それっきり別れましたけど」
何も隠さず淡々と答える国見。
先程の二人のやり取りを見ていても、別れた気まずさは感じられず、今のふたりは本当に単なる幼なじみなのだろう。