イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第5章 消せない熱 前編〈徳川家康〉
「どうして、あんな瞳をしていたのかな……」
そう思うも、自分はもうすぐ此処から居なくなる身。
考えても仕方無いと、頭にかかる靄にかぶりを振って縁側から離れ、世話役の務めに戻った。
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その頃、安土城の広間では、今日の軍議が終わったところだった。
秀吉の側近であり、天使スマイルを持つ三成が、スッと立ち上がって武将達に声をかける。
「皆様、お疲れ様です。お茶でも淹れて参りますね」
三成がそう言うと、すかさず家康が反論した。
「止めろ。ただでさえピリピリした空気なのに、お茶を零されたら余計に苛々するだろ」
「家康様、その心配は御座いません。私はまだお茶を零していませんので」
「これから零すでしょ」
「家康様、お気遣いありがとうございます!お茶を淹れるのは好きなので、全く苦にはなりませんし、皆様のお役に立てる事が私の幸せですから!」
「何の話?俺は気遣ってなんかないし、零すって話してるのに、どうして好き嫌いの話になってるわけ?大体お前の幸せなんて心底どうでもいいよ」
「家康!苛々してるからって三成に当たるんじゃない!」
「秀吉さん、俺は当たってる訳じゃありませんよ。本気でこいつに苛々してるだけです」
「いーえーやーす!お前とかこいつじゃなくて、ちゃんと名前で呼べ!」
「……お茶を零される前に、俺は御殿へ帰ります」