イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第36章 あんたが望むなら 後編 <徳川家康>
※ ※ ※
――突然、視界が暗くなった。
何が起きたのか、しばらくには理解出来なかったが……
「……っ」
その声に、やっと少しずつ分かってきた。
緊張で強張り、冷えていた身体が、急に温かくなってきた訳も。
耳元で自分の名を呼んでくれるのが、誰なのかも。
震える手で、そっとその温かな背に触れる。着物をきゅっと掴み、だんだんと目頭が熱くなって。
その名を呼んだ。
「家康……!」
……………………
…………
どれくらい、そうしていただろう。
時間にすれば、それほど長い時ではなかったが、二人の間では、とてもとても時間がゆっくり流れているように感じた。
「……怪我は?」
「無いよ。家康が、助けてくれたから……」
「そう……」
「家康は?」
「あの上杉謙信相手に、ほぼ無傷だなんて自分でも信じられないよ。刀は馬鹿みたいに重たかったけどね」
「良かった……っ」
「……うん」
「!」
を抱き締める家康の手に、更に力が籠った。
今更ながらに、はその頬を赤く染める。少し口篭りつつも、何とか言葉を口にしていく。