イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第35章 あんたが望むなら 前編〈徳川家康〉
――今も夢に見る。
ココに、あの人は居ない。
だけど……
毎晩毎晩、あの人は夢にやって来る。
夜が深過ぎて、抜け出せなくて
溺れてるみたいに、息も出来ない。
……………………………………
………………
本能寺にて、が織田信長を助け出したのが、ほんの数日前。
信長はを気に入り、験担ぎの為、傍へ置くことにしたものの……
いくつか、に対して気にかけている事があった。
――安土城、天主にて。
「……あの女に何かあっては幸先悪かろう。あの女には、幸運を呼び込んでもらわねばならんのだからな」
「前から思ってたんですけど、ソレ、本気で言ってます?」
「家康。貴様、この俺が冗談を口にするとでも?」
「……ですよね。すみません、愚問でした。それで、俺にどうしろと?」
家康の問いに、信長は特に表情を変える事なく、脇息に凭れながら頬杖をついて、まだ日の高い外へと視線を巡らせる。
春も終わり、もうすぐ暑い季節がやって来るだろう。今日の日差しはそれを予感させるものだった。
生温い風が頬を撫でていき、家康は僅かに眉をひそめる。
信長は視線だけをゆるりと家康に向け、先程の問いに答えた。