イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第20章 譲れない想い〈政宗vs家康〉
本来なら、私はここに居る人間じゃない。
きっと消えたって、誰も悲しまない。
乱世では、命は儚く一瞬で失われる。
だから 私は―――……
……………………
…………
安土城にて。
いつものように行われていた軍議が終わり、広間から武将達が出ていく中。
一人、湯飲みを片手に、じっと座り続ける男が居た。
織田軍と同盟を結んでいる、伊達政宗だ。
政宗は誰も居なくなった広間で、何か考え込んでいた。
(最近、の様子がおかしい。どこかよそよそしいと言うか、元気がねぇと言うか……)
「まるで、今にも消えちまいそうな……」
つい先程、皆にお茶を淹れてくれた姿を思い浮かべ、政宗はゆっくりと立ち上がった。
廊下へ出て、徐に台所へと足を向ける。
(今ならまだ逢えるかもしれない)
言い知れない不安に駆られて、いつの間にか早足になっていた。
早く早く、の顔が見たくて。
ここに居るという確証が欲しくて。
政宗は、自らも料理をする為に通い慣れた台所の戸を、勢いよく開けた。
「わっ!ま、政宗?!」
「っ……」
政宗の予想通り、はここに居た。の顔を見たら、自分でも驚く程に安心してしまって、自然と口元が綻ぶ。