イケメン戦国 家康三成メイン書庫(記念小説等例外有)◆R18
第16章 熱情 後編〈石田三成〉
―――安土城にて。
昨夜の軍議以降、ひたすら準備に駆け回り、漸く全て整え終えた三成が出陣の時を迎えていた。
三成を筆頭に、編成された少数精鋭部隊。各自馬に跨がった所で、家康がやって来た。
「三成」と、声をかけて、静かに近付いてくる。
「家康様……見送りに来て下さったのですか?お気遣いありがとうございます」
「違う。なんで俺がお前を見送りに来なきゃならないんだよ」
「え?ですが……」
「見送りに来たんじゃない。……三成、お前一睡もしてないだろ。怪我もあるし、本当にやれるのか」
「大丈夫です。……様が居られない部屋では、私はもう眠れませんので。」
「…………」
にこっと笑って、そう答える三成に、家康は呆れたような溜め息をついた。
そして、懐から何かを取り出す。
「これ、餞別に持って行けば」
「家康様、これは……?」
「気付け薬だよ。隊の要であるお前が倒れでもしたら困るだろ」
「家康様……!」
「俺は後から駆け付ける。……例えに何かあったとしても、我を忘れるな」
「はい。ありがとうございます、家康様!……行きますっ!」