第8章 その肆〈信長ルート/艶有〉
次第に力が抜けていくの躰を支えながら、信長はやっと唇を離した。
「……どう、して……っ」
瞳に涙が滲み、頬を上気させるに、ドキリと心臓が跳ねる。
そして、自らの想いを吐露した。
「俺を知りたいと言ったな。……恐らく、今のがその答えだ」
「え?」
「話は終わりだ。もう部屋へ戻れ。俺も仕事がある」
そう言うなり、信長はまるで何も無かったかのように、パッとから離れた。
そのまま天主から出ようとする信長を、は理解出来ず、「待って下さい!」と引き止める。
「今のが答えって、どういう事ですか?」
「……どういう事も何も、そういう事だ」
「そういう事って……」
すると、信長は溜め息をつきながら振り返り、に視線を向けて、言葉を付け足した。
「……俺は、貴様が欲しい。貴様の心も躰も。」
「なっ……」
「最初は戯れだったが……今は違う。本気で、の全てが欲しくなってしまったようだ」
告白とも取れる信長の言葉に、の顔がみるみる真っ赤に染まる。
そうして、早鐘のように鳴り続ける自分の心臓に、激しく動揺した。