第8章 その肆〈信長ルート/艶有〉
―――俺の事を知りたい、だと?
勝手に哀しんでいると決めつけ、勝手に同情しているのかと思ったが……
そうではないようだな。
信長は、俯くの顎を掬い、顔を自分の方へ上向かせた。
今の自分が、熱に浮かされたような瞳をしているとは気付かずに、と視線を絡ませる。
「……知りたい、とは……秀吉よりもか?」
「どうして、そこで秀吉さんが出てくるんですか?」
「……貴様は、あの男に惚れているのだろう?」
「それは……っ……今は、関係ないです」
―――その瞬間、信長は気付いた。
自分が、もしかしたら、本当に哀しげな瞳をしていたかもしれないという事に。
何故なら、そうなってしまう理由が、分かってしまったから。
信長は、その瞳にどうしようもない熱と、切なさを宿らせて、苦しくなる胸に眉根を寄せる。
そして、そのまま顔を近付けて、の唇を奪った。
「ん……んんっ!」
無理矢理口内を侵し、舌を絡めとると、から甘い声音が漏れて、信長はその声音にゾクリとする。
逃げられないように、の後頭部を押さえつけ、深く深く、何度も角度を変えて、貪るような口付けを繰り返す。