第7章 その漆〈秀吉ルート/艶有〉
「信長様、一緒に住んでもいいって同居を許してくれたよ」
「え?」
「とりあえず、満月までだけどね。用事はそれだけ。……信長様、秀吉さんの事を心配してくれてるみたいだったよ」
「……っ」
の言葉を聞いて、秀吉は目頭が熱くなってくるのを感じた。必死に堪え、涙こそ零さなかったが、少しでも信長を疑ってしまった己を恥じ、それと同時に信長への忠義心がより一層深まった。
(あのお方が、そこまで俺なんかの事を想って下さっていたなんて……このご恩に、俺はどう報いればいいんだ)
やはり、俺の命は信長様の為に――……
そう思った時、不意に目の前にいるが、自分の背中をポンポンと優しく叩いた。
秀吉は、信長が気に入らないと言った時の話を唐突に思い出しながら、背中から伝わってくる優しい振動に、ゆっくりと何かが解けていくのを感じた。
(まさか……信長様の、気に入らない事って……)
思考を巡らせつつ、そっとを抱き締めたまま一緒に倒れ込む。
畳の上で、ゆっくりとその身を起こし、を組み敷いた。
「……っ……秀吉さん?」