第6章 その陸〈秀吉ルート/ちょい艶〉
もともとの荷物は少ない。秀吉は少し大きめの葛籠に、の荷物を綺麗にまとめて入れて、風呂敷で包み、片手で持ってくれている。
「秀吉さん、荷物持ってくれてありがとう。少し代わろうか?」
「いーや、俺が持つ。それに、お前の荷物……持ってるのを忘れそうなくらい、凄く軽いしな」
「流石にそれは……着物や裁縫箱って、意外に重いと思うけど……」
「全然?……軽すぎて不安になりそうだ」
「え?」
「何でもない。……さっきの話だが、満月前も含むのなら、一緒に住まなくたって、俺達は罰を受ける事になるぞ」
「どうして?」
「どうしてって……昨日、沢山手を出しちまったからな」
「!」
秀吉の言葉に、散々愛し合った昨日の情事を思い出して、の顔が一気に赤く染まった。
その様子に目を細め、甘い言葉が口からするすると零れる。
「あんなに愛し合ったのに、もう忘れちまったのか?……なら、今夜はもっともっと愛し合わないとな」
昨日より、もっと?……そう思うだけで、は躰の内側がじわりと熱くなってくるのを感じた。
そんな熱を振り切るように、何とか話題を変え、秀吉の御殿に着くまで、二人は他愛ない世間話に花を咲かせた。
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