第1章 その壱〈豊臣秀吉/艶有〉
ガラッと襖を開けて、中に入ってくる秀吉。
(嘘っ!まだ拭いてないのに……っ)
は急いで座り直し、乱れた髪を撫で付ける。
未だ蜜にまみれたソコを、意識しないように、何とかいつも通りの笑顔を作る。
「め、珍しいね!こんな時間にどうしたの?」
「……一緒に茶でも飲もうと思ってな。最近城下で仕入れた、美味しい茶葉を持って来たんだ」
「嬉しい!でも、お茶だったら明日でも……」
「今じゃ、何かまずかったか?」
秀吉の言葉に、一瞬ビクリと肩が揺れる。
はしどろもどろに「う、ううん、全然大丈夫」と目を逸らしながら答えた。
「それじゃ、お茶の支度をするね!」
「ああ、ありがとう。けど、その前に……」
「え?」
立ち上がりかけたの腕を掴み、秀吉がグイっと傍へ引き寄せる。
そして、ぎゅっと抱きしめた。
一瞬、何が起きたのか分からず、「秀吉さん?」と名を呼んでみるが……
すぐに秀吉の様子が、いつもと違う事に気付く。
耳元で囁かれる、甘く低い声音。
「………拭いてやろうか。お前の大事なとこ」
「……え?」
「まだ、ぐしょ濡れなんじゃないのか?」