第4章 その肆〈秀吉ルート/艶無〉
天主を出た後も、秀吉はをお姫様抱っこしたまま廊下を歩いていた。
は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にしながら、「降ろして!」と抗議の声をあげる。
「……駄目だ。それに、これから大事な話がある。……聞いてくれるか?」
秀吉の熱を帯びた瞳に見つめられ、の鼓動が高鳴っていく。
その真剣な眼差しから、逃れられない。
「うん。……私も……話したい事、あるの」
秀吉の着物を、がきゅっと握る。たったそれだけの事で、秀吉は堪らない気持ちになった。
――その後。
近道した覚えはないが、気付いたらもう秀吉の御殿に着いていた。
秀吉の部屋に入り、はようやく畳の上にそっと下ろされる。
「……ありがとう。重かったでしょ?」
「何言ってるんだ。軽すぎてびっくりしたぞ。ちゃんと飯、食ってるのか?」
「た、食べてるよ!」
「本当か?……まぁいい。その話も含めて、今日はゆっくり話そう」
「うん。あ、でも……お仕事あるんじゃ……」
「心配するな。今日は、さっきの野盗の件以外では、特に急ぎの仕事は無いんだ」