第4章 その肆〈秀吉ルート/艶無〉
「信長様……ありがとうございます」
の言葉を聞いた後、信長の瞳はすっかりいつもの冷たい瞳に戻っていた。
「……秀吉、いつまで此処で頭を傾げているつもりだ。を連れて、早く行け。貴様が持ってきた書簡には目を通しておいてやる」
秀吉はハッとして、信長に頭を下げた。姿勢を正し、礼を言う。
「信長様、本当に有り難う御座いました!……必ずや答えを見つけ、ご期待に添えてみせます!」
「…………」
秀吉とが天主から出て行くのを横目で見やり、信長は書簡を拾い上げる。
そのまま外廻縁まで出て、高欄に手を掛けた。
眩しい日差しをその身に受けながら、自嘲気味に呟く。
「……猿め。俺が期待しているように見えるとはな。……やっぱり彼奴は、ただの阿呆だ」
それはどこか優しく、どこか寂しげで……
けれど、信長は眼下に広がる安土の町を一瞥し、すぐに室内へと戻った。
文机の前に腰を下ろし、書簡を開く。
……もう信長の頭の中は、書簡の内容とその対策で埋め尽くされていた。
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