第3章 その参〈織田信長/艶少〉
―――ガタン。
が否定しようとした瞬間、天主に誰かが入って来る音がした。
その誰かは信長に畏まりつつ、口早に要件を告げていく。
「信長様、お休みのところ申し訳ありません。この前話していた野盗の件で急ぎご報告が―――」
完全に天主へと続く階段を登りきったところで、その誰かは言葉を詰まらせた。
そうして、それはも同じ……
天主に入って来たのは、が逢いに行こうと思っていた愛しい人。
―――秀吉だったのだ。
「ひ、秀吉、さん……」
「……」
2人の様子に違和感を覚えつつも、信長はそのまま行為を続ける。
の首筋に舌を這わせ、鎖骨の辺りをかぷっと甘噛みした。
「……っ!や、止め……」
「黙れ。貴様はこのまま、じっとしていろ。……秀吉、報告を続けろ」
信長の一言でハッと我に返り、秀吉は手元の書簡に視線を落とす。
そして報告を続けようとするが……
「はっ。……野盗の件、なのですが。……光秀の調査によると、拠点となる場所が……」
「……秀吉、何を動揺している?」
「…っ!」
信長の冷たい瞳が、チラリと秀吉を横目に見やる。
の着物を更に乱し、肩を露にさせながら、秀吉の返答を待った。
秀吉は視線を逸らしながら、しばらくの沈黙の後、静かに口火を切る。