第1章 その壱〈豊臣秀吉/艶有〉
秀吉は信長の忠臣で、右腕とも呼ばれる男だ。
そんな秀吉が、何故の部屋の前に居るのかと言うと―――……
邪な気持ちからではなく、純粋にを励まそうと思ったからだった。
実は信長へ報告する事があり、天守へ向かったところ……
偶然にも、信長とのやり取りを聞いてしまったのだ。
その後、は信長に啖呵を切り、天守から走り去って行った。
余程動揺していたのか、秀吉の存在には全く気付かずに……
そうして、秀吉は信長へ報告を終えた後、の部屋へやって来たのだ。
まさか、このような状況に出会すとは、夢にも思っていなかった。
部屋の中から聴こえてくる、の甘い声音に、秀吉はしばし立ち尽くして居た――――………
「あっ……あっ……!んんっ……」
くちゅくちゅと、激しくなる水音と、喘ぐ声。
それを聴いてしまっている秀吉の躰は、だんだんとへの熱を募らせていく。
(くそっ…いつまで聴いてるつもりだ。早く、ここから立ち去らないと……)
秀吉が己の熱を振り払うかのように、踵を返そうとしたその時――……
「あっ……!だ……め…………っ!」
「!」