第6章 俺の興味。
先程まで賑わっていた校舎内も、人は疎らになり、専門教室では文化部が活動を始めていた。校舎内をジャージ姿で歩き向かった“心当たり”の場所は、数学準備室。そういえばこの部屋はテニスコートからも見える場所で、日当たりもいい事だろう。そりゃ絶好の昼寝スポットやろうな。そんなことを思いながら目的の場所へ着き、ノックをしようとドアへ近づくと、中から聞こえる声に耳を疑った。
「・・・・・・?」
『アッ・・・やぁ、おねが、い・・・っ・・・そこじゃない・・・のっ』
『んっ・・・はぁ、きもちい?声、我慢して?』
『脱がすね』
気になって耳をすませば中から聞こえる女の喘ぐ声と、その女を善がらせている声の主はジローだろう。
ジローの相手、それは恐らくこの部屋の主・・・ドア横に書かれた担当者の名前を見る。
「楓百瀬、か。」
部屋から漏れる声を聞き、男と女がシているであろうことは、思春期を迎えた俺には容易に想像できた。
誰がどこで何をしようと、それは俺には関係ないことだった。それが教師と生徒のセックスでも。
「(ま、興味は持ってしもうたけど・・・)」
ノックしかけた手を下ろし、踵を返した。