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ひみつ

第6章 俺の興味。



5月も終わる頃。窓の外へ目をやると、初夏の緑が目に眩しい。
先日地区大会を終えたテニス部は、来月に控えた都大会への調整が始まっている。その前に中間テストがあるが、エスカレーター式のこの学校で、内申が・・・と焦るような声が聞かれることも少ない。もっとも、生徒の学力レベルも低くはないのだが。希に、赤点を取ったが故に部活へ支障を来す生徒もいるが、それはまたの機会に話すことにしよう。

昼食後の5限、そしてこの陽気、板書しながら授業をする教師の声に、ジローやないけど眠くなる。
あかんあかん!そう言い聞かせて授業を聞いていると、終業を知らせるチャイムに救われた。授業が終わると頭も冴えてきて、部活へ向かう準備をする。
ラケットバッグを背負い教室を出ると、山積みのノートを持ったジローを見かけた。珍しく起きて、日直の仕事しとるわ・・・

明日は雨やな、ジローの珍しい行動に天気も荒れると踏んだ俺は、その珍しいジローの働きっぷりをからかって、ついでに部活も連れてったろ、と思って後をつけてみることにした。
俺もとんだ暇人やな・・・

目的の場所に着くと、ドアに向かって開けてくれって言うとったけど、あれ自分で開けられるやろ・・・。すぐにドアが開いて入っていった。



「あそこは、数学準備室・・・?」



恐らく数学のノートを集めたんだろう。今日はうちんとこは数学あらへんかったし、明日あたり集めるんやろか・・・
壁に寄りかかって待つがジローはなかなか出てこない。
今日は跡部も生徒会で遅れるとかで、ジローは昼寝でもして遅れてくるつもりやろか。たしか数学の教師はジローんとこの担任やったしな。


仕方なく俺はその場を後にした。


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