第5章 理性
だめ、いけない・・・心の中ではそう思っていても、ドラマのような展開とスリル感に欲張りになってしまった私は、何も言えなかった。
「いいよね?」
「う、四ノ宮先生来るから…」
「今日休みって忍足が言ってたC〜」
「っ……だれか、来るかもしれないし…」
「鍵もばっちC〜!」
私の上に跨って、手で“C”を作りウインクする姿は可愛らしくて、さっき見せた意地悪そうな笑みと同一人物だなんて…。言い訳ばかりしても、芥川くんの次の動きに期待してしまい、心臓の鼓動は速くなるばかり。
「だからいいでしょ〜、ね!」
あ、でも声は我慢して♪そう言って口元をシ〜っと押さえ楽しそうに言うと首元に顔を埋め舌先でツーっと舐め上げる。
「あっ…」
首筋に走る感触に体がゾワっと震え、意図しない声が漏れてしまうと、口元を手で覆い我慢するしかなかった。
「ねぇ、ここ、キスマーク付けたら怒る?」
ちょんちょんと今しがた舐め上げた首筋に触れながら言う彼に、怒りますっ!と言うと、じゃあこっちにするねとブラウスのボタンを2つ外すと胸の上にチュッと吸い付き痕を付けた。