第4章 心臓の音が煩いと感じたのは初めてだ
朝練には出ずそのまま教室に入るとさっそく机の上で目を閉じる。宍戸に、朝練来いよなって言われ、眠たい声で、ん~っとだけ返事をした。
教室は静かじゃないけど、みんなが喋る声、椅子を動かす音、それから足音、あんまり聞こえないけどノートをめくる音だって心地いい。
今日もよく眠れそう・・・
「芥川くん、起きなさい?また補習になるわよ?」
でも眠いんだよ。1限から机に突っ伏していた俺。まだ意識はあったけど、出欠を取る楓ちゃんに返事をする気力はなくて、代わりに隣の宍戸が、寝てますよ。と返してくれた。サンキュ~
昨日、授業中寝ていた代償に出された課題のプリントに補習。正直面倒だし眠かったけどさ、帰る間際に楓ちゃんにお礼って名目でキスをして、俺もそんなつもりなかったけど、1秒も触れなかたけどさ。あの柔らかい感触に、楓ちゃんのいい匂いに酔っちゃったんだよね。
あぁ、俺今まだ起きてっけど起きられないのは、眠いってだけの理由じゃない。
もう少しだけ、夢見させてよ、センセー。
腕を枕にして、肩を揺すられ。楓ちゃんが諦めて教卓へ足を運ぶ頃、こっそりと目を開けて笑った。