第3章 それはマシュマロのような・・・
終業のチャイムが鳴ると静かだった廊下も賑やかにくなる。
帰宅する生徒、部活に励む生徒。また明日ね、なんて声も聞かれる。教師は授業の準備だったり部活を受け持つ先生は部へ顔を出したりと放課後も忙しかったりする。
「ふぅ・・・」
「初日お疲れさま、楓先生。授業はどう?わからないことがあればいつでも言ってね。」
「ありがとうございます、四ノ宮先生。よく聞いてくれる生徒たちで安心しました。」
「そう、最初が肝心よね、頑張りましょうね。」
四ノ宮先生はE組からH組の数学を担当している。私のことも気にかけてくださって優しい。普通なら1人で1学年を受け持つことになるんだろうけど、氷帝学園は人員配置も手厚く、その分空いた時間に特進授業だったり補習ができる。授業以外にも、委員活動などにも配置されるのでクラス、学年問わず生徒たちとも関わりを持つ機会がおおいというわけだ。じゃ、今日はリーダー会議があるから失礼するわ、と四ノ宮先生は出て行った。私も自分の仕事に取り掛からないと・・・机に向かっているとトントントンとリズムよく部屋の戸をノックする音が響いた。
「はい、どうぞ?」
「失礼しまーす・・・!」
キョロキョロとしながらも私を見つけると目を見開きニカッと笑みを浮かべながら芥川くんが入ってきた。今朝のプリントを出しに来たんだろう。
「あぁ、プリントね?」
そう言って手を差し出すと、はいっと渡されたそれは白紙のままで・・・
「ごめん楓ちゃん!わかんなくってさ・・・」
手を合わせて困ったように上目遣いをする芥川くん。どさくさに紛れて楓ちゃんなんて呼ぶものだから、それはやめなさい。と言うとえ~っと唇を尖らせた。
ため息をつき、仕方ないわね・・・と補習をすることになった。あんなに部活でどやされる、なんて言っていたのにいいのかしら?