第9章 恋しよう*岩泉一
いきなりのことで思わず抱き留めたが
これはどういう状況なんだ?
松川と花巻はニヤニヤと笑い
及川と1.2年は固まっている
「岩泉もすみにおけないな~」
「どういう関係だ~?」
松川と花巻の声に我にかえり
抱き留めていた手を離すが
一向に離れるそぶりがない
『ハジメとは幼馴染みなの』
はっ?幼馴染み?
「岩ちゃん幼馴染みってどういうこと!
及川さん葉月ちゃんのこと知らないよ!!」
「葉月.....?」
『もしかして忘れちゃったの?』
悲しそうにシュンと目尻を下げて
大きな瞳がみるみると潤んできた
まて、これは俺が泣かしたことになるのか!?
誰だ?俺に及川以外で幼馴染みなんかいたか?
今だ抱きついている葉月の泣き顔をみていると
小学校にあがる直前で引っ越して行った女の子と重なった
「隣の家にいた葉月か?」
そう言うとパァッと笑顔になった
その笑顔を見て別れるときに交わした言葉を思い出した
"大きくなったら結婚しようね"
「...あ~...
もしかして.....あのこと....」
『ハジメも覚えててくれたの!!』
とたんに真っ赤になって
片手で口をおさえ天をあおいだ