第9章 恋しよう*岩泉一
「いっわちゃ~ん🎵」
「.....」
朝練が終わり部室で着替え教室に向かっていると
後ろから声をかけてきた及川
肩ごしに目線だけ向ければ
満面の笑みを携え俺を呼んでいる
こういう時のコイツの話は聞かなくても分かる
どうせろくでもない話に決まっている
「ちょっと岩ちゃん無視しないで!」
「あ"?」
「そんなんだから女の子にもてな...痛"ーっ!!」
「殴るぞクソ川」
「もう殴ってるじゃん!!」
お前みたいにへらへら愛想振りまけるか!
「うざいぞ及川~」
「きもいぞ及川~」
及川に背を向けスタスタと歩く後ろで
松川と花巻からニヤニヤと笑いながらいじられ
自分の教室へと及川は半泣きで駆け込んでいった
「聞いたか岩泉?」
自分の席に荷物を置いていると
前の席の奴か話しかけてきた
「何の話だ?」
「転校生が来るだってよ
しかも、女の子だって!」
及川が言いたかったことはこれか
アイツどこで情報を仕入れてくるんだ?
「お~い岩泉聞いてる?」
「ああ、それで?」
嬉々として話しだしたところでHRが始まり話は終了した
"食堂でランチデートしてくるね♡"
昼休憩になり及川からふざけたLINEが届いた
文章だけなのにうざさが半端ねぇ
「岩泉!転校生の新しい情報手に入れたぞっ!!」
弁当を食べ終わったところに嬉しそうに話しかけて来た
「名前は山城葉月ちゃん」
「葉月.....」
どっかで聞いたことがあるような.....気のせいか?
嬉々として話す同級生に
適当な相槌を打ち話を聞き流した
「遅くなっちゃった☆」
放課後になって部活を始めたが及川が遅れてきた
「おせぇぞクソ川!!」
「ゴメンゴメン
転校生に校内を案内してたんだよね☆」
ヘラヘラしながら体育館に入って来た及川の後ろから
大きな瞳の可愛らし顔がひょこと現れぱぁっと笑顔になった
『やっと見つけた!』
「っ!?」
ドンッと勢いよく抱き着いてきた転校生を
踏ん張って抱き留めた