第3章 秘密の合図*溝口貞幸
俺には付き合っている彼女が居る
その彼女と言うのが....
「あれ?山城
今日は髪アップにしてるんだ」
『うん。ちょっとね』
いつもおろしている髪を今日は一つに纏めている
「ホントだ~綺麗な項だね♡」
『ありがとう』
及川なにデレデレしてやがる
それは俺のだぞ
俺の彼女は男子バレー部マネージャー
一回り以上も離れた女子高生
勿論学校にも部活の連中にも秘密だ
「えっと...コーチ?」
「あ゛?」
「スミマセン!?」
「いや、それより何だ?」
いかんいかん大人げないぞ俺
相手は子供だ
「ねえねえ葉月ちゃん」
『な~に及川君?』
「及川さんとデートしない?」
はああ!何言ってやがる葉月が
お前とデートなんかするわけねえだろ
『残念だけど私及川君に一ミリの興味もない』
清々しいほどの笑顔でバッサリと及川を切った
はっ!ざまあみろ及川
「じゃあさ~俺は?」
今度は花巻か!?
『花巻君?そうだね~
シュークリームを一緒に食べるくらいならいいよ』
「よっしゃー及川に勝った🎵」
シュークリームだと?まあ確かに俺は甘いもの苦手だが
葉月が食べたいならいくらでも付き合うぞ
「んじゃ俺はチーズinハンバーグ食いてぇ」
『ハンバーグ?』
「俺、揚げ出し豆腐な」
『ふふっ松川君も岩泉君も
お腹すいて食べたい物言ってるだけでしょう』
「じゃあさ~みんなで一緒にご飯に行かない?」
「おっ良いな~」
「及川の奢りな」
「ええ!なんで!?」
「言いだしたのはお前だろうが」
「分かったよ~葉月ちゃんも行こうね♡」
『ごめんね私今日は彼氏とデートだから』
「「「「えっ彼氏!!?」」」」
フッ残念だったなお前ら
葉月は俺とデートなんだよ
"誰!""マジか"とざわつく4人を前にしても
にこやかな笑顔でいる葉月
『秘密。しいて言うなら大人な男性かな』
大人ってほかに何か無かったのか?
まあいい後でじっくり聞くか
今日のコーチ怒ったりニヤついたり可笑しいぞと
ひそひそ部員たちが囁いていたが
それには全然気づいていない溝口だった