第21章 守りたい
瑠李side
「校長先生。私から説明しますわ。」
その女性は突然そう言い出した
「私が、あなたの退学処分を望んだからですわ。」
「どうして・・そんな事を?」
初対面の女の人に突然言われて納得が出来なかった
「大野さんでしたかしら?先ほど担任の先生にお伺いしましたけど・・・進学も就職もしないんですって?何も心配しなくてもいいですものね。」
「どういう意味ですか?」
「ただ高校生をやって、卒業出来ればいいんでしょう?だったら退屈よね?だからって、貴女のそんな退屈凌ぎに、巻き込まれたらいい迷惑だわ。」
「私は・・そんなつもりはありません。進学も就職もしないのも事情があっての事ですし、それと退学になることの意味がわかりません。」
「あら、頭がよろしくないようね。だったら単刀直入に申し上げますけど・・・私の息子を誑かさないで頂きたいんですが・・・大変迷惑していると・・今後の受験にも影響が出たら困りますしね。」
「息子って・・・。」
「大野さん。こちらの方はね、三嶋剛志君のお母様で、三嶋産業の社長夫人だ。で、君がその三嶋君に言い寄っていて、彼が迷惑しているとの事で、相談に来られてね。こちらとしても事実を確認した上で、君に処分を決定せざるを得ない訳なんだ。」
「だからって・・事実をきちんと確認もしないで、退学になるなんておかしいです!!」
「あら、心外だわ。事実は確認しましたもの。」
「え?どういう意味ですか?」
そこで、三嶋君のお母さんが一緒に来ていた秘書の方に
声を掛けて、書類を出させた
「これが証拠ですわ。」
その書類には、私が彼に送ったとされるメールの内容。
先日誘拐されて、身代金を要求された事も
私が犯人とグルになり企てたという事
さらに私が彼にストーカー並につきまとっているといった
“証拠”と言われる書類だった
それを目にした校長先生も、担任の先生も信じきっていた
ここにも嘘が・・・・真実として扱われていたのだ
私は愕然として言葉が出なかった
どうすればいいの?
だってこれは全部嘘なのに・・・・・
わからないよ・・・・・