第20章 深まる罠・・・・・そして真実
必死に願い出る彼女に
俺は一緒にいることを選んだ
「眠れるまでそばにいてやるよ。」
「じゃあ・・・寝ない・・・。」
「何で?」
「だって・・ハルさんが側から居なくなっちゃうから・・・」
「同じ家にいるだろう?」
「ハルさんが・・側にいないと不安なの!いつもハルさんが側に居ない時に恐い事ばっかりあるんだもん!」
彼女の言うとおりだった
「だからって・・寝ないで居るなんて出来ないでしょ?」
「・・・・・。」
「じゃあギュってしてやろうか?そしたら安心出来るか?」
彼女は無言で頷いた
俺は彼女の布団に入り、二人で横になった
俺の胸元に頭を乗せている彼女は、ポツポツと話しだした
「三嶋君が・・・・・全部嘘だったって・・・。」
「うん。何が?」
「マンションの前に居た事とか・・・誘拐された事とか・・・。全部自分で計画的に仕組んだ事だって・・・。」
「そうか・・・。」
「そうやって私を追い込めば、私が三嶋君の事を好きになると思ったからって・・・。」
「そんな計画を立ててたんだなあいつは。」
「私は、三嶋君の事は好きじゃない。これからも好きにはならない。飯島さんみたいに三嶋君の事を本気にはなれない。って言ったの・・・・・。」
そこまで言うと彼女が無言になった
「他にも言われたのか?」
目に涙をいっぱいに溜め込みながら彼女は言った
「ううん・・・・。言われてない。」
その瞬間俺はるぅが嘘をついていたのがわかった
その夜
彼女は言った言葉通り
なかなか眠らなかった
やっと俺が開放されたのは
空が白くなりかけた頃だった
俺は彼女の腕をそっと解き
るぅの部屋を出た
そこで仕事に向かう雅人に遭遇した
「え?何でハルが瑠李ちゃんの部屋から?」
「あぁ、寝つくまで離れなかったんだ。さっきやっと眠った所だ。」
「そっか・・・。あいつマジでどうにかしないとな。」
「あぁ、るぅが安心して学校行けるようにな。」
「なぁ、ハル・・。」
雅人が何か言いたそうに名前を呼んだ
「ん?何だ?」
「いや、何もない。じゃあ行ってくる。」
「あぁ、後でな。」
そう言って俺は雅人を見送った